強迫性障害の症状
- 汚染や不潔が怖くて何度も手を洗う
- 鍵をかけたか、ガスの元栓を締めたかを何度も確認する、財布の中身を何度も確認する
- 誰かを車で轢いてしまったのではないかと不安になり、何度も同じ道を通る
- 決められた手順にこだわる、順序正しさ、規則性、左右対称にこだわる
- 保存にこだわる、ため込みすぎる、捨てられない
- 4や9や13などの不吉な数字に不安、恐怖を感じそれらの数字を避けることにこだわる
Obsessive-compulsive disorder
強迫性障害は、強迫観念と強迫行為の2つの症状が、少なくとも2週間以上、ほぼ毎日みられ生活に支障をきたす病気です。
強迫観念は、「鍵やガスの元栓をしめ忘れたのではないか」、「手にバイ菌がついているのではないか」(不潔恐怖)、「車で人をひいてしまったのではないか」(加害恐怖)などと、意思に反して繰り返し頭に浮かぶ考え・思考・観念・イメージであり、不快感・不安・苦悩・苦痛を引き起こします。
強迫行為とは、強迫観念を抑え込もう・振り払おう・消してしまおう・中和しようとして、「鍵や戸締りやガスの元栓などを何度も確認する」(確認強迫)、「何度も手を洗う」(洗浄強迫)、「何度も同じ道を通る」などのくり返す儀式的行為のことです。
強迫行為は自分でも、過度で不合理でばかげた行動だと思いながらも行わずにはいられず、多くの時間やエネルギーを費やして、社会生活・日常生活に支障をきたします。
米国では強迫性障害の罹患率は1.9~3.3%と報告されており、日本の大学生対象の調査では罹患率は約1%程度と推定されています。
強迫性障害の治療には薬物療法、精神療法を行います。薬物療法ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬の一種を使用します。SSRIはセロトニンという神経伝達物質を神経と神経の間で増加させる働きの薬です。抗うつ薬は飲み始めてから効果発現までに2週間ほど時間がかかります。
その他の抗うつ薬(クロルプラミンなど)や、抗不安薬、少量の抗精神病薬などを使用することもあります。精神療法では認知行動療法の中の曝露反応妨害法という治療を行います。曝露反応妨害法とは、患者さんを意図的に強い不安や恐怖に曝露して、それを解消するための強迫行為や儀式行為を行わせないこと(反応妨害)で、強迫行為を繰り返さないようにしていく治療法です。強迫行為なしで、不快感・不安感・恐怖感を長時間放置することでこれらの感情に慣らしていき、徐々に苦痛を減少させていきます。強迫性障害は根気よく継続的に治療をおこなっていく必要があります。症状を完全に無くすことにこだわりすぎず、まずは日常生活に支障をきたさない状態、苦悩や苦痛が和らぐ状態を目指しましょう。
参考文献
カプラン臨床精神医学テキスト
専門医をめざす人のための精神医学
ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
強迫性障害の治療ガイド