社交不安障害の症状
- 人前で発言・発表するのが怖い、極度に緊張する
- 注目されると赤面する、発汗する、ドキドキする、震える
- 人前で食事がとれない
- 人前で文字を書く時に手が震える
- 会議や発表前に尿意がしてトイレに行きたくなる
Social anxiety disorder
社交不安障害とは、人前で話をする、人前で発表をする、人前で食事をするなどの状況において、恥ずかしい思いをしてしまうのではないか、否定的な評価を受けるのではないかと、極度の緊張、不安や恐怖を感じて、動悸、赤面、震え、吐き気、発汗、尿意頻回、腹痛、下痢などの症状を生じるため、社会生活・日常生活に支障をきたす病気です。
他者から注視されるおそれがあり、強い不安感・緊張感を持ちながら社会生活を続けていくと、そのような社交的な場面・状況を回避しようとします。
社交不安障害の人は不安な状況に対して、健康な人よりも脳の反応が敏感になっており、また脳内の神経伝達物質、特に不安・恐怖を和らげる役目を果たすセロトニンのバランスがくずれていると考えられています。米国では社交不安障害の生涯有病率は3~13%の範囲と報告されています。社交不安障害の発症の最盛期は10代ですが、一般に5~35歳までに発症します。
社交不安障害の治療としては、薬物療法、精神療法(特に認知行動療法)を行います。薬物療法ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と抗不安薬を使用します。SSRIは神経伝達物質であるセロトニンを神経と神経の間で増加させる作用のある薬です。SSRIは飲み始めてから効果発現まで2週間程度かかります。
認知行動療法の中の曝露療法が、社交不安障害に効果があります。適切な治療を続けて症状を改善させ、不安や恐怖を感じ回避していた場面でも、自分自身で落ち着いて対処できたという経験を積み重ねることで、自信を持つようになることが重要です。
参考文献
カプラン臨床精神医学テキスト
ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル