うつ状態の症状
- うつ病の症状とほとんど同じです
Manic-depressive psychosis
(Bipolar disorder)
躁うつ病は、落ち込んだ気分のうつ状態と、高揚した気分で活動性の亢進した躁状態をくり返す病気です。
うつ状態では、うつ病によるうつ状態とほぼ同じ症状が見られます。躁状態では、気分の著しい高揚、愉快、陽気、開放的、活動性の亢進、眠らなくても平気、過度に楽観的、自尊心の肥大化、気が大きくなり何でもできる気がして、派手な服装や化粧、多弁、浪費、イライラして怒りっぽい、攻撃的などの症状が見られます。
うつ状態または躁状態は少なくとも1週間以上は続きます。躁うつ病は双極性障害とも言われます。うつ病と躁うつ病は全く別の病気です。躁うつ病の有病率は約1%と報告されています。うつ病エピソードをもつ者の約5~10%は、後に躁病エピソードを発現し、躁うつ病と診断されます。
躁うつ病では、気分安定化薬(炭酸リチウム)という薬が第一選択薬です。
また、気分安定化作用のある抗てんかん薬(バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンなど)、抗精神病薬、睡眠薬なども使用します。
躁うつ病のうつ状態で抗うつ薬を使用すると躁状態に変わる(これを躁転という)ことがあるので、抗うつ薬の投与は慎重におこなう必要があります。重度の躁状態では入院治療が必要となることがあり、そのような場合には信頼できる精神科病院をご紹介いたします。躁うつ病の心理社会的治療では、病気についての知識を学ぶ心理教育が最も重要とされています。
参考文献
カプラン臨床精神医学テキスト
専門医をめざす人の精神医学
日本うつ病学会治療ガイドライン I.双極性障害2017
ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル