パニック障害とは、急に発作的に動悸、発汗、震え、息苦しさ、吐き気、めまいなどがあらわれ強い不安を伴う“パニック発作”を繰り返し、また発作が起こるのではないかという“予期不安”を生じ、外出や発作に関連した場所を避けるという“回避行動”がみられ、日常生活に支障をきたす病気です。パニック発作は通常10分ぐらいでピークに達し、20分~30分続くが、1位時間以上続くことはまれです。
以前にパニック発作が起きた場所や状況、急に逃げられない場所や状況に対して不安や恐怖を感じる、例えばバス、電車、飛行機、歯医者、会議室、美容院、エレベーター、トンネル、渋滞、人混みなどに不安や恐怖を感じることを“広場恐怖”と言います。
パニック障害の治療
パニック障害の治療には、薬物療法と精神療法がおこなわれます。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬の一種が主に使われます。SSRIはセロトニンという神経伝達物質を神経と神経の間で増やす働きの薬です。
SSRI以外にも、抗うつ薬を使用することがあります。SSRIは飲み始めてから効果があらわれるまで2週間程度かかるので、治療初期は抗不安薬を併用します。SSRIの効果があらわれてきたら、抗不安薬を減量していきます。抗不安薬はすぐに効果があらわれるので、頓服としても使用されます。急性期の治療で発作が制御されても、薬物による維持療法は6か月~1年半の間は続ける必要があります。精神療法の中では、認知行動療法、特に段階的な曝露療法の有効性が証明されています。
参考文献
カプラン臨床精神医学テキスト
専門医をめざす人の精神医学
ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル